デニム・アイテムが値上がっている背景

今回は各社デニム・ブランド、Kapital、orSlow、Ordinary Fits などのデニムアイテム (製品) が値上がりしてる背景を分析したいと思います。たまに「また Kapital 値上がりしてる …」という消費者の声が聞こえますが、これは Kapital がもっと儲けようとして値上げしてる訳ではなく、一言で言えばインフレが影響しています。

上記の ROUND HOUSE の「デニムペインターパンツ」は、この2年の間にUSA製の原価が倍になってしまい、それ以前のプライスレンジがベトナム製に変更になっています。こういう世界がざらということです。

原材料となる「綿花」の価格上昇

まずデニム・アイテムの値上がりの根本的な原因は、主要原料となる「綿花 (コットン)」の価格高騰にあります。

・世界的な異常気象による収穫量の減少

この背景には​近年、地球規模での異常気象が頻発しており、主要な綿花生産地域での干ばつや洪水などの自然災害が相次いで発生しています。​これにより、綿花の収穫量が大幅に減少し、市場での供給不足が生じています。​

・インドや中国など主要生産国での生産制限

インドや中国など主要生産国での生産制限、新興国での衣料品需要の急増などが挙げられます。​

・新興国での衣料品需要の急増

一方で、アジアやアフリカの新興国では、経済成長に伴い中間層が拡大し、衣料品の需要が急増しています。​これらの要因が重なり、綿花の価格が高騰しています。

・デニム製造に必要な藍染料も上昇

また、デニム製造に必要な藍染料も、化学原料価格の上昇に伴い、過去5年で約35%上昇しています。藍染料は、デニムの特徴的な青色を生み出すために不可欠な染料です。​

しかし、近年、環境保護の観点から化学工場の操業が制限されるなど、染料の生産に影響を及ぼす要因が増えています。​例えば、中国では環境保護政策の強化により、多くの染料工場が生産を停止または削減しており、これが染料の供給不足と価格上昇を招いています。

人件費と物流コスト

デニム製造の主要地域でも人件費が急上昇しています。更に、物流コストの急騰しており、コンテナ輸送費が2021年のピーク時にはコロナ前の約10倍に達し、現在も高止まり状態が続いています。

円安と消費者志向の変化

ここ数年の急激な円安が輸入製品価格に大きな影響を与えています。

デニム製品の高付加価値化による影響もあります。

– サステナブル素材の使用(コスト増+15〜30%)
– 環境に配慮した製造方法(コスト増+10〜25%)
– 高品質・長寿命設計への移行

Z世代・ミレニアル世代の73%が「品質と持続可能性」のために高価格を許容する傾向にあると言います。

まとめ

以上のように「原材料価格の上昇」、「人件費と物流コストの上昇」、「円安 (為替動向) と消費者志向の変化」によって価格が年々上昇傾向にあります。