TRUSS が公開した、Kapital の代表 Kiro Hirata のデニム哲学についてを翻訳してご紹介します。Kapital の予測不可能で、奥深いリファレンスに満ちた洋服作りの創造的原動力である Kiro Hirata。
Kapital 創設者 Toshikiyo Hirata の息子である彼は、デニム文化の中で育ちながらも、単なる復刻にとどまらず、ブランドを独自の個性を持つジャンル横断的なレーベルへと進化させました。
そこには、アメリカンカジュアル、日本の職人技、そして時にシュールなほどユーモラスな要素が融合しています。もともと写真を学んだ彼のアプローチは、単なる服作りではなく、ストーリーテリングの要素を強く持っています。
Kapital のコレクションには、誇張されたシルエット、予想外のダメージ加工、伝統的なスタイルの再解釈が散りばめられ、機能性と不条理の境界を曖昧にしています。
さらに、超実験的ライン「Kapital Kountry」を立ち上げ、極端なエイジング技術、手作業による装飾、風変わりなアメリカーナの要素を、まるで神話的な領域にまで押し広げました。
Kiro のビジョンのもと、Kapital はトレンドの外側にありながら、同時にトレンドを生み出す存在となりました。襤褸(BORO)ステッチのデニム、スマイリーフェイスのモチーフ、緻密なディテールへのこだわりは、決して同じものを繰り返さないブランドのシグネチャーとなっています。
Kiro Hirata の言葉
以下は Kapital を代表する Kiro Hirata の言葉、哲学です。
デニム。
それが私の哲学だ。
すべては模倣から始まった。
しかし、日本人は何かを取り入れ、自分たちのものとして昇華し、
オリジナルへと昇華させるのが得意だと思う。
ジーンズの歴史を振り返ると、リーバイスの最古のジーンズは約100年前のものだ。
ジーンズはアメリカで生まれ、父はその復刻を完璧に極めた。
だからこそ、今度は自分が新しいものを生み出す番だと思った。
すでに存在するものを繰り返すのではなく、
これからの100年に向けて、新たなものを創造したかった。
父の世代は、アメリカンワークウェアの復刻を極めた。
私たちの世代では、そのワークが『ワークウェア』から『パワーウェア』へと進化している。
これからの100年に向けて、新たなものを創造したかった。
ヒッピー文化。
最高だ。
不完全さが、人間らしさを生み出す。
だからこそ、私たちはデザインの中に「ミス」を取り入れる。
ジーンズは物語のようなものだ——
着ることで、生きることで、
そして共に変化していく。
服は何かを感じさせるものであるべきだ。
たとえそれが、ただの笑顔だとしても。
西洋がデニムを生み出し、
日本がその魂を与えた。
日本が生み出した、Kapital デニムの哲学
Kapital は、日本が世界に誇るデニムブランドであり、単なるジーンズメーカーではなく、デニムを通じた哲学と創造の探求者です。その根底には、日本独自の文化的アプローチと、伝統を超えた新たな表現の探求があります。
模倣から創造へ、日本的昇華の美学
Kapital のデニム作りは、単なるアメリカンワークウェアの復刻ではなく、「取り入れ、昇華し、オリジナルへと進化させる」 という日本のものづくりの精神そのものです。
LEVI’S に代表されるジーンズ文化は、アメリカ発祥のものです。Kapital の父の世代は、それを完璧に復刻することを極めました。しかし、次世代の使命は「ただの再現ではなく、未来へ向けた新たな創造」へと進めました。
復刻にとどまらず、新しい100年のデニム文化を生み出すこと。それが Kapital の真髄です。
「ワークウェア」から「パワーウェア」へ
Kapital は、単なる作業服としてのデニムではなく、デニムに「力(パワー)」を宿らせること に重点を置いています。かつてのアメリカのワークウェアは、労働者のための機能服でした。
しかし、Kapital はそれを「パワーウェア」へと昇華させます。服そのものが、着る人にエネルギーや感情を与える存在であるべきだと考えています。
これは、単なる服のデザインを超えた「体験としてのデニム」という新たな概念を生み出しています。
完璧さを求めない「不完全の美」
Kapital のデザインには、意図的な「ミス」や「ゆらぎ」が組み込まれています。それは、完璧さを追求するのではなく、「不完全さの中にある人間らしさ」を表現するためです。
ヒッピー文化への共感、「自由」と「即興性」の美学。ジーンズの経年変化、着ることで、共に変化し、物語が生まれる。クラフトマンシップと遊び心の融合、デザインの中にミスを取り入れる。
この「意図的な不完全さ」は、Kapital のデニムが単なる「衣服」ではなく、「着ることで完成するアート」になっていることを示しています。
デニムの魂を生み出した日本
Kapital の哲学は、デニムという素材を超えた、「服とは何か?」という根源的な問いかけ へと向かっています。デニムは「完成された商品」ではなく、「人と共に変化する存在」であり、その変化の中にこそ美が宿る。
これは、茶道や侘び寂びといった日本独自の美意識にも通じるものです。この言葉が象徴するように、Kapital は単にアメリカのジーンズ文化を受け継ぐのではなく、日本独自の哲学を織り込みながら、デニムに「生命」を吹き込むブランドなのです。
Kapital の本質
・歴史を継承しながら、未来を創造する
・単なるワークウェアではなく、パワーウェアとしてのデニム
・不完全さを愛し、遊び心とクラフトマンシップを融合
・デニムを「着るアート」として昇華
・西洋の発明に、日本の哲学を与え、新たな価値を生み出す
Kapital は、「デニムの可能性を探求し続けるブランド」 であり、その創造力はこれからの100年に向けて、さらなる進化を見据えています。